年に一度のお楽しみ・・・燕子花と燕子花図
根津美術館に行ってきました
お目当はもちろん尾形光琳「燕子花図屏風」とお庭の燕子花
この時期だけ本物の燕子花と「燕子花図屏風」を同時に見ることができます
ふっくらと見事に咲き誇る燕子花を見ることができました
根津美術館の庭木の樹齢はいかほどか・・・
とてつもなく大きく育ったもみじやイヌシデなど、雑木の庭の主役たちがこれほどの巨木になるとは・・・という感じでした
また最近ハマっている庭木の手入れ=剪定のハサミの入れかたなども興味深く飽きることなく見てきました(超個人的幸せw)
この日のもう一つのお目当、イブニングレクチャー「燕子花図と夏秋渓流図」では美術館員さんによる解説を聞くことができました
生きたレクチャーを聞くことで、俵屋宗達、酒井抱一、円山応挙、歌川広重、谷文晁といった日本史の授業で耳にした名前が記号から生き生きとした画人としての個性や時代背景、生まれや発展の流れなど、あらためて興味をそそられる内容でした
そして初めて見る鈴木其一の「夏秋渓流図」もレクチャーを受けた後に見てみると、実に不思議な絵であることがよく分かります
檜林を流れる渓流の風景を描いているのですが、スケール感がとても不思議なのです
一番大きなはずの渓流の流れはとても丁寧に描かれているのですが、周りに生えている檜の方がとても大きく、渓流の流れがとても小さく描かれています
渓流と檜で狂わされたスケールそのままに、周辺に生える下草である百合や熊笹などは圧倒的に大きく描かれていて、現実の川辺にこんなに巨大な熊笹が生えていたら・・・と考えるとなんともシュールで思わず笑いがこぼれてしまうほどです
そして全体を蝕むように苔はいずれあたりを覆い尽くさんばかりの勢いを感じ、化政文化期から天保の大飢饉、大塩平八郎の乱などが起きた世の中を反映しているようにも感じた次第です
それに比べると国宝「燕子花図」は元禄文化の華やかさそのままに金屏風に群青と緑青という当時でも高価な塗料をふんだんに使用し、燕子花の花弁の裏表、葉の裏表をそれぞれ群青と緑青の濃淡、合計4色で描き分けています
本来周囲にあったであろう池や木々や下草を一切排しているにも関わらず、そうした周辺の動きを感じさせる燕子花の配置が見事です
そして、描かれた花のふっくらした有様はひとつひとつ見ていても飽きることがありませんでした
本物の力強さは建築も絵画も実物を見るまではわからないものですね
圧倒されました
季節ごとに楽しめるお庭の奥にある「天神の飛梅祠」の裏側、木々の向こうに見えるのはアントニン・レーモンド設計のカニンガム邸です
カニンガム邸にお邪魔した時にも、根津庭園を借景として設計されたという話を聞きました
建築とはこうありたいものですね